実績紹介Actual Introduction
ライフワーク実績 2/4
―「原子力発電」という高エネルギーの安全を高めて社会に貢献する ―
原子力に係る危機管理研修等の創設
1. 「危機管理研修」の創設と実施
「危機管理研修」を、原子力施設幹部社員の危機対応能力を高めることを目標として創設し実施しました
平成26年度から、(一社)原子力安全推進協会から委託を受けた(一財)消防防災科学センターの事業として「危機管理研修」を創設し、毎年2回実施しています。この研修は、原子力発電所の幹部社員を対象とした正規の研修として位置づけられています。
この「危機管理研修」の特徴は以下の二つです。
〇一つは、多くの災害経験と部隊指導経験による消防幹部OB等の卓越した訓練技法を活用し、小グループに分けた研修生に過酷災害時特有の臨場感を創出し、誰もが動揺する緊迫した状況下でも的確に指揮統率できる力を醸成する実践的な訓練です。
〇二つ目は、講師が持つ技能を教えるのではなく、実践的な訓練活動を体験することにより、自らの業務を振り返り「気づき」を得る訓練です。
「危機管理研修」を受講された皆様の声(アンケートより抜粋)
- 情報収集と指揮についてよく理解出来ました。情報をたくさん取ろうとすると、必要な情報が取れなくなります。ほんとうに必要な情報は何なのか等体感することが出来ました。
- 今回の危機管理研修を終えて、自分がリーダーとして一翼を担っていく上で何が弱みなのか強みなのか気付くあるいは動機付けとなる有意義な研修でした。内容的には危機管理対応の基本、コミュニケーション能力、情報収集、伝達のあり方、過酷状況下の対応の困難さを講義、訓練で多少なりとも体得することが出来ました。職場において活かしていかなければと思います。講師の皆様には大変感謝申し上げます。
- 危機管理に携わる人財に要求される知識、技術、胆力について体感することができました。特に同時多発災害については自らが指揮する組織のリソース、緊急対応に求められる要素と一致するものであり、今後に生かされるものでした。
- 実体験を通じて、課題、気づきを得ることができました。実業務(緊急時対応)に反映できるよう取りくんで参りたい。
- 3日間という短い期間ですが非常に濃密な経験ができました。当研修を通じて得た気づきを自業務、緊急時対応に反映していきたいと思います。
- 私の職場のより多くの人にも受講してもらいたい研修でした。
- 実際の現場活動をしてきた講師の方の言葉には説得力がありました。自分の職場で活かし今回の研修が無駄にならないようしていきたいと思います。ありがとうございました。
- 今回の研修では、良い気付きが得られたと感じています。今の思いを発電所に持ち帰り何らかの形にしたいと感じています。ありがとうございました。
- 他産業に学ぶことの重要性を感じたことが一番の気づきでした。このような機会を頂きありがとうございました。全体を通じて、事前の準備(ハード、ソフト)の重要性や、他の役割も理解した上で取組みを行うことの大切さを認識できました。
- 演習により頭を使った。日頃リーダーとして危機管理、コミュニケーションの重要性を意識しているがいい経験となりました。
- 消防での経験豊富な講師の方々の話しを分かりやすく理解できました。パワーポイントの資料も見やすく出来ていました。今後も消防での危機管理ノウハウの講習をたくさん実施して頂き、伝えて頂きたいと思います。
危機管理研修は、NHKや朝日新聞で紹介されました
H27.07.27
NHKニュース ウォッチ9で紹介されました
H27.08.13
朝日新聞で紹介されました
2.「ERC研修」の創設と実施
原子力社員を対象とした「危機管理研修」を元に、原子力立地地域のステークホルダーが受講できる「ERC研修」を創設して、経産省の受託事業として実施しました
「危機管理研修」は大変好評ですが、電力事業者の社員しか受講できませんでした。そこで、令和元年度から原子力施設の立地地域周辺の皆様が受講できる「ERC研修」を(一財)消防防災科学センターの自主事業として新たに創設し、経産省資源エネルギー庁の「原子力の安全性向上をになう人材の育成事業」に応募し採択されて実施しています。
「ERC研修」は、「Emergency Response Command研修」の略称です。原子力施設から概ね30Km圏のUPZ区域[Urgent Protective action planning Zone:緊急防護措置を準備する区域] (IAEAの国際基準で設ける、原子力発電所で事故が発生し緊急事態となった場合に、屋内退避などの防護措置を行う区域)の電力事業者社員や原子力協力会社社員、消防・市町村の職員等を対象に年2回、二か所の原子力立地地域を対象に実施するものです。
当面は、経産省の受託事業費で実施しますが、将来的には各電力事業者の自主予算で研修を実施する計画です。
令和元年度、2年度は、まず福井県と青森県を対象として実施しました。今後はこの地域を日本全国に拡充していきます。この「ERC研修」を、全国で54基ある原子力施設周辺のステークホルダーの皆様が受講できるようになると、国内の原子力の安全がより一層強化されます。
「ERC研修」を受講された皆様の声 (アンケートより抜粋)
- このような研修は体験したことがなかった。原子力防災を担う者として、事業者のみではなく消防、行政他と日頃からこのような訓練をしなければ我々は一歩先には進めないことを感じられる非常に良い研修内容だった。我々安全を守る者がこのような研修で多くの関わりを持てる機会が増えることを望む。[原子力事業者社員]
- オンサイトの電力・運転部の出身です。この研修でのオフサイトでの指揮、多重多発時対応の指揮訓練(演習)ができ、大変有意義でした。来年度での開催を希望します。 [原子力事業者の関係会社社員]
- 研修内容、時間が適切であると思います。異業種交流という意味ではありませんが、私のような民間企業に勤める人間にとっては、研修内容が非常に新鮮であり、新しい『気づき』を得ることばかりでした。非常にありがたかったです。災害に関する内容のみではなく、企業と電力会社での課題についても取り上げていただければ幸いです。ぜひ今後とも、この研修を継続的に実施願います。[原子力設備機器メーカー社員]
- 難題に立ち向かい解決に向けて動くには知識、経験をはじめ他にも様々なことが必要だと感じられた。難しい演習をやり抜くことでそういったことに気付くことができる良い研修だった。防災に携わる人は是非一度体感してほしい。[自治体行政職員]
- 村内外の職種の違う人がチームを組んで一つの課題をクリアするカリキュラムはとても受けてみて良かったと思いました。消防側の意見として、実動で働く場合顔の見える関係が重要ですし、各関係機関が情報共有できれば今日の研修がもっとより良いものになると感じました。福井で次回も開催をお願いします。[消防職員]
「ERC研修」の演習状況
研修の講師陣
~元東京消防庁 幹部職員等~
【上席研究員】
飯田 稔、内山 徹、鈴木正弘、永井逸朗、中村啓治
(あいうえお順)